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中秋月を望む  <王 建>

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https://youtu.be/qUv1dDCo0l4?si=ZTuyJXxxjENaFjFr https://youtu.be/A-pIjCql-bc?si=lJYYIo7RG30hC7fL https://youtu.be/dbnnultVQ50?si=XQ8uqgOLuYkmYYZI https://youtu.be/Y5eC8Bu-Nx8?si=y_VBRZK0WfdMhusc 公益社団法人 関西吟詩文化協会 漢詩紹介 吟者:辰巳 快水 2004年11月掲載 読み方 中秋月を望む  <王 建> 中庭 地 白くして 樹 鴉を栖ましむ 冷露 声 無く 桂花を湿す 今夜 月明 人 尽く望む 知らず 秋思の 誰が家に在るかを ちゅうしゅうつきをのぞむ <おう けん> ちゅうてい ち しろくして じゅ からすをすましむ れいろ こえ なく けいかをうるおす こんや げつめい ひと ことごとくのぞむ しらず しゅうしの たがいえにあるかを 詩の意味  今夜は中秋の名月。庭先の地面は月の光に白く輝き、樹々は静まって鴉のねぐらとなっている。やがて夜がしだいに更けて、露は声も無く木犀(もくせい)の花をしっとりと湿している。  さて、今夜はこのように月が明るく照らしているのだから、天下の誰もがこの名月を仰ぎ眺めていることであろうが、その中でも最も秋の物思いにふけっているのはどこの家の人であろうか。(自分ほどの人はいないであろう) 語句の意味 中 秋陰暦八月十五夜 鴉烏(からす)の一種で日本の烏より小さく口ばしが太く腹が白い 零 露降りてくる露 「冷露」とする本が多い 桂 花木犀の花 🥳🥳🥳🥳🥳🥳🥳🥳🥳  十五夜望月  十五夜に月を望む   王建 中庭地白樹棲鴉  中庭 地 白くして 樹に鴉 棲み 冷露無声湿桂花  冷露 声無くして 桂花を湿(うるお)す 今夜月明人尽望  今夜 月明 人 尽(ことごと)く望む 不知秋思在誰家  知らず 秋思 誰が家にか在る    中庭の地面は月に照らされて白く、樹には鴉が止まっている。冷たい露は音もなく降りて桂の花をしっとりとぬらしている。今夜のこの明月を、人々はみな眺めているだろうが、その中で秋の物思いにふけっているのはどこの家の人だろうか。    作者の王建はあまり日本ではなじみがありませんが、中唐の詩人...

望湖楼酔書。蘇軾

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https://youtu.be/8wDhTUIeAu0?si=7ricIM04Zyjqi74T https://youtu.be/mFryPh-392U?si=siWx96Y8EKsp2mi_ https://youtu.be/pruWi8eBvVA?si=iAYO5j0QPSNcG654 https://youtu.be/iE1UKWBNbwA?si=TQt-XI_R_1EyXf31 https://youtu.be/-j_Z47GEKek?si=ZOKegb8LDGcNxu0A 🥳🥳🥳🥳🥳🥳🥳🥳 六月二十七日望湖楼酔書  六月二十七日 望湖楼酔書(五首のうち一首)      黒雲翻墨未遮山  黒雲 墨を翻し 未だ山を遮らざるに 白雨跳珠乱入船  白雨 珠を跳ねて 乱れて船に入る 巻地風来忽吹散  地を巻くの風来たり 忽ち吹き散ずれば 望湖楼下水如天  望湖楼下 水 天の如し 〔詩形〕七言絶句  〔韻字〕山(上平声・刪韻)、船、天(下平声・先韻)通押 ○六月二十七日 本題の五首の絶句は一つの組詩であり、宋の神宗の熙寧五年(1072)六月二十七日に作られた。この前の年、蘇軾は杭州の通判に任命された。  ○望湖楼 また先徳楼ともいい、杭州西湖のほとりの昭慶寺の前にある。五代の時に呉越王の銭〓が建てた。  ○酔書 酒に酔っている時に書いた。  ○翻墨 まるで墨汁をこぼしたかのようだ。  ○未遮山 まだ山の峰を完全に覆い隠していない。  ○白雨 にわか雨は急でしかも勢いが激しく、迷迷濛々として白色を呈している。  ○跳珠 まるで真珠のように乱れて飛び跳ねる。  ○巻地風 地面を巻き上げるようにして吹いて来た強い風。  ○水如天 湖水は青空と同様に、平静で澄み切っている。  六月二十七日、望湖楼で酒に酔って記す その一  黒雲が墨をこぼしたかのように広がり、まだ山を隠してしまわないうちに、 白い雨粒が真珠を撒き散らしたかのように、乱れて船の中に飛び込んで来た。  大地を巻き上げんばかりの風が吹いて来て、たちまち黒雲を吹き散らすと、 望湖楼の下、水はまた大空の青さにもどった。  これは連作の第一首で、西湖の盛夏の一陣の雨の情景を書いている。各句が一つの景を書いている。第一句は雲を書き、黒雲がにわかに起きる。第二句は雨を書き、暴雨がにわ...

山行<杜牧>

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https://youtu.be/HrLS4MpqI8M?si=0h4uRNym9qxufvz7 https://youtu.be/srQoaU8ZVg4?si=nmBC96JAhkPTNdrK https://youtu.be/kFxV_l7mDX4?si=xlFUPfHN0hLBOrw0 https://youtu.be/Qg9G0ATPldA?si=v49jW9Zq_ZozyF2O https://youtu.be/G0hfoXLG2k8?si=TsDW33hJwgD1PczU https://youtu.be/5QW4aJ803IE?si=0AU-YSfXTuYUvP45  公益社団法人 関西吟詩文化協会 漢詩紹介 読み方 山行<杜牧> 遠く寒山に上れば 石径斜めなり 白雲生ずる処 人家有り 車を停めて坐に愛す 楓林の晩 霜葉は 二月の花よりも 紅なり さんこう<とぼく> とおくかんざんにのぼれば せっけいななめなり はくうんしょうずるところ じんかあり くるまをとどめてそぞろにあいす ふうりんのくれ そうようは にがつのはなよりも くれないなり 🥰🥰🥰🥰🥰 人気のない寂しい秋の山を遠く登れば、小石の道が斜めに続いていき 白い雲の湧くあたりに人家がポツンポツンと見える 夕暮れ車を停めさせてしみじみと楓(カエデ)の林を眺めると 紅葉(もみじ、こうよう)した葉は春の桃の花よりも赤い 🥰🥰🥰🥰 晩秋の山歩き、物寂しい秋の山、うねうねと続く石の小道 遥か彼方、白雲の湧く辺り、ぽつりぽつりと  人家が見える 何処とは無しに 馬車を停めて うっとり見とれる 夕暮れの楓樹 霜に打たれ色づいた紅葉は 陽春の花よりも赤々と鮮やか 🥰🥰🥰 詩の意味  遠くからやって来て、晩秋の寂しい山に登ると、小石の多い道がふもとから斜めに頂上に向かって続いている。白雲のわき起こるような高い所にも人家があるとは本当に感心したものだ。  車を停めて、なんとなく夕日に照り映えた美しい楓(かえで)の林にうっとりと見とれてしまう。霜に色づけられた楓の葉は、2月に咲く花よりもまっ赤で燃えるように美しい。 鑑賞 夕映えに照り輝く楓の美しさ  寒山・石径・白雲の字句で秋の冷ややかな感じをただよわせ、楓林・霜葉・紅・花の字句で赤々と燃えるような...

楓橋夜泊 <張継>

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https://youtu.be/BGD8PxmkFSU?si=wjVaJCjonHBMeWfT https://youtu.be/TPuu6Bbzmd8?si=B46HP_joA2j9EDwf https://youtu.be/SqVeSGbPhNE?si=ECmnC0udr5Pm_szu https://youtu.be/0J8--8RxcAM?si=FY_ufiYCzYDXmSU9 https://youtu.be/ya8fQGG1QW4?si=TEs-SNdnL4ZdSy3k 公益社団法人 関西吟詩文化協会 漢詩紹介 読み方 楓橋夜泊 <張継> 月落ち烏啼いて 霜天に満つ 江楓漁火 愁眠に対す 姑蘇城外 寒山寺 夜半の鐘声 客船に到る ふうきょうやはく <ちょうけい> つきおちからすないて しもてんにみつ こうふうぎょか  しゅうみんにたいす こそじょうがい  かんざんじ やはんのしょうせい  かくせんにいたる 詩の意味  月は沈み夜烏(よがらす)が啼き、霜の降りる気配が天に満ち満ちて、冷え込んできた。 川岸の楓(かえで)の木々の間には漁火(いさりび)が点々として、旅愁のためにうつらうつらとして眠れない私の目に映る。  もう夜明けも近いのかなと思っているところへ、 姑蘇城外の寒山寺から打ちだされる夜半を告げる鐘の音が、 私の乗っている旅の船にまで響いて来たのであった。 鑑賞 寒さとわびしさに震えている張継  おそらく南方の地方官に赴任を命ぜられたころの作ではないでしょうか。都を出たころにはまだ暑さも残っていましたが、もう霜の降る晩秋なのです。船の外はまだ暗闇ですが、近くには漁火がちらついています。もうすぐ夜明けだと思っていたら、近くの寺から真夜中を告げる鐘の音が聞こえて、暁までには時間があるなと思い直し、夜具を掛け直しているせつない作者が偲ばれます。 語句の意味 楓 橋 蘇州(今の江蘇省蘇州市)の西郊にある橋 このあたりは当時南北往来の要路であった 江 楓 川岸の楓の木 愁 眠 旅愁のため熟睡できないでうつらうつらしている 姑蘇城 春秋時代の呉の都 今の蘇州市 寒山寺 蘇州の西郊の楓橋近くにある名鐘で名高い寺 客 船 旅人すなわち作者を乗せた船 詩の形  仄(そく)起こり七言絶句(しちごんぜっく)の形であって、...

元二を送る <王維>

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https://youtu.be/X-v0M47mJno?si=sVqEfcdxVfZn7OJ0 https://youtu.be/2gQppCvrwpE?si=vaeAKrqyNDc5Wn6w https://youtu.be/H8xkQBVpC54?si=FHgapl2zQqlEodve https://youtu.be/3aWHtsm69GE?si=BDIwvKz1Bje2R5Zs https://youtu.be/isSLPDpw3L0?si=Nqt0Z02_Kjw93oKh 元二を送る <王維> 渭城の朝雨 軽塵を浥す 客舎青青 柳色新たなり 君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒 西のかた 陽関を出ずれば 故人無からん げんにをおくる <おうい> いじょうのちょうう けいじんをうるおす かくしゃせいせい りゅうしょくあらたなり きみにすすむ さらにつくせ いっぱいのさけ にしのかた ようかんをいずれば こじんなからん 詩の意味 渭城の朝の雨は軽い土ぼこりをしっとりと濡らし、 旅館の前の柳は雨に洗われて青々として、ひときわ鮮やかである。 (さて君はこれから遠く安西=あんせい=に使いするために旅立つのであるが) さあ、もう一杯飲み干したまえ。 西の方(かた)陽関を出てしまったら、もう君に酒を勧めてくれる友人もいないであろうから。 鑑賞 本題は「元二の安西に使いするを送る」といいます。当時は柳の枝を別れ際に折り取って手渡す習慣がありました。その柳をしみじみ眺めている作者がいます。 渭城から安西まで何千キロもあります。 そこは砂漠地帯で、ほとんど人は住んでいない辺境 の地なのです。 いったん別れると生きては会うことのできない当時の別れの、つらく悲しい思いがあふれ、読む人の涙を誘います。 これに勝る送別の詩はないと言ってもいいでしょう。  【語句の意味】 元二:王維の友人で元という性の人、「二」は一族のうちで上から二番目の男子の事 安西:今のウイグル自治区クチャ県 唐時代にはそこに都護府  (とごふ=軍隊を用いて辺地を警備監督する役所)を置き西域の守護に当たらせた 渭 城:長安の西北で渭水の北側にある町 当時西方に旅立つ人をここまで見送る習慣があった 柳 色:...

偶成<朱熹>

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https://youtu.be/NzLBAR8eROM?si=irX20Mx2W-ERGjGr https://youtu.be/yp_DBRWpTtA?si=3NAYyWAltCQzg811 https://youtu.be/Kvg_RB2SFaA?si=VxeEr2oAWku6lA1- https://youtu.be/ifoMBwYlJRw?si=jP8AQG6teGy_5nnq https://youtu.be/qPoyMzBDv9E?si=18CNpleFlF9iHorf 読み方 偶成<朱熹> 少年老い易く 学成り難し 一寸の光陰 軽んず可からず 未だ覚めず池塘 春草の夢 階前の梧葉 已に秋声 ぐうせい<しゅき> しょうねんおいやすく がくなりがたし いっすんのこういん かろんずべからず いまださめずちとう しゅんそうのゆめ かいぜんのごよう すでにしゅうせい 詩の意味  若者はアッという間に年をとってしまい、学問はなかなか完成しにくい。だから、少しの時間でも軽軽しく過ごしてはならない。  池の堤の若草の上でまどろんだ春の日の夢がまだ覚めないうちに、階段の前の青桐(あおぎり)の葉には、もう秋風の音が聞かれるように、月日は速やかに過ぎ去ってしまうものである。 鑑賞 今も昔も人生は短く学問の道は遠い  前半二句は今でも親や教師が口にしそうな若者向きの学問のすすめです。後半二句の具体的な比喩(ひゆ)が説得力をもっています。若さをむさぼり楽しんでいるうちに秋風が吹いてきて人生は終わりに近づくのですよと諭(さと)しています。いわゆる勧学(かんがく)の詩として最も親しまれています。 語句の意味 偶 成 たまたまできた詩 少 年 若者 「少」は若い 光 陰 光と影 「光」は昼・「陰」は夜 時間 池 塘 池の堤 階 前 きざはしの前 「階(きざはし)」は堂に上る階段 梧 葉 青桐の葉 詩の形  平(ひょう)起こり七言絶句(しちごんぜっく)の形であって、下平声(かひょうしょう)八庚(こう)韻の成(せい)、軽(けい)、声(せい)の字が使われている。 結句 転句 承句 起句                ...

洞庭湖に遊ぶ

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  https://youtu.be/wDRP-dbLQTA?si=sYNT6fCi0d21ofjI https://youtu.be/Z71bAufI2VE?si=HSh1y4P6C5ddaggu 読み方 洞庭湖に遊ぶ  <李白> 洞庭西に望めば 楚江分かる 水尽きて南天 雲を見ず 日 落ちて 長沙 秋色遠し 知らず 何れの処にか 湘君を弔わん どうていこにあそぶ   <りはく> どうていにしにのぞめば そこうわかる みずつきてなんてん くもをみず ひ おちて ちょうさ しゅうしょくとおし しらず いずれのところにか しょうくんをとむらわん 詩の意味  洞庭湖から西方を望めば、楚江が分流して湖に入っている。湖水が尽きるところ(水平線)、南の空には一点の雲もなく晴れわたっている。  やがて日は落ちて、長沙の方は、秋に色づいた陸地が遠く見えている。ただ広々としていて、悲劇の女神である湘君をどこで(どの方角に)弔ってよいかわからない。 語句の意味 洞庭湖揚子江中流にある中国第一の湖 広さと景観は雄大を極める 楚 江長江をこの地方では楚江と呼ぶ 洞庭湖に注ぐ 長 沙洞庭湖の南100㎞にある 今の湖南省の都 楚江の支流である湘江の東岸にある 湘 君伝説時代(紀元前3000年ごろ)の帝王堯(ぎょう)の娘 姉を娥皇(がこう)妹を女英(じょえい)といいともに舜帝に嫁した 舜が国内巡視中蒼梧(そうご)で没すると二妃(にき)とも湘水に身を投げた 二人を湘君といい湖水の神として崇めている 洞庭湖北西端の君山に湘君の祠がある 鑑賞   スケールの大きい叙景から懐古へ  洞庭湖を遊覧した時の詩で、5首連作の第1首である。前半は西に南に頭を巡らして、実際には見えないが「楚江分る」「水尽き」と言って、想像も含めて渺々(びょうびょう)たる洞庭湖のスケールの大きさを実感させる。洞庭湖といっても雨季と乾季では面積が変わる。雨季は最長南北130㎞、幅100㎞ともなる。後半は「日落長沙」「湘君」など歴史上の語句を用い、過去にスポットを当て、懐古詩で終わっている。つまり李白たちは湖上から雄大な光景を眺めながら、3000年前、舜帝に殉死した悲運の湘君を偲んでいる。  悲運と言えば今船に乗る3人も左遷されたり流罪(るざい)の身であったりして、決して幸運な者たちではないからこそ、湘君が浮かんだのかもしれ...

胡隠君を尋ぬ  <高啓>

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  https://youtu.be/nV8SZ-kbU-4?si=mK2ABbtzG9UXvRHq https://youtu.be/uZbQHGiR9Yw?si=aRlTVLEBUCRSqxVY https://youtu.be/rpmA_GMAIN0?si=2jF5fII0866gInd9 https://youtu.be/NKERB0Z7vYk?si=45iQ87MD23CFUXtL https://youtu.be/zwEniDi98PM?si=0zbcyTbwP2CND9KW 読み方 胡隠君を尋ぬ  <高啓> 水を渡り 復水を渡り 花を看 還花を看る 春風 江上の路 覚えず 君が家に到る  こいんくんをたずぬ  <こうけい> みずをわたり またみずをわたり はなをみ またはなをみる しゅんぷう こうじょうのみち おぼえず きみがいえにいたる 詩の意味  何度も何度も川を渡る道すがら、花を見、さらに咲き誇るあたりの花を見る。  春風そよぐ江(かわ)のほとりの路をゆくと、いつの間にか君の家にたどり着いてしまった。 語句の意味 胡隠君 胡という隠者  水  川 蘇州あたりは水郷地帯  花  桃や李(すもも)の花 不 覚 いつの間にか 鑑賞   隠者を慕いつつ描く江南風景画  この詩は江南ののどかな風景を愛(め)で楽しみつつ、隠者となっている友人の胡氏を訪ねた時の作である。春光がゆったりと注ぐ江南の風景は、この詩に尽きるほど見事に表現されて、作者の心境と風景が一枚になった純粋無垢の作品と言える。作者もまだ30代後半とはいえ、明帝からの高官を拒んで故郷で自適の生活をする身だから隠者に近い。おそらく憧れの隠者が比較的近くに暮らしていたのであろう。気がつけば足がそちらに向かっていたという無色透明な詠い方が良い。 漢詩の小知識   五言絶句の平仄の公式  ➀平起式(偏格)起句の二字目が平音である場合   △○△●●    △●●○◎   △●△○●    △○△●◎  ②仄起式(正格)起句の二字目が仄音である場合   △●△○●    △○△●◎   △○○●●    △●●○◎   五言詩は七言詩の上から二文字分を除いたものと考えるのが基本。押韻は承句と結句末のみ。 1 一・三字目は〇でも●でもどちらでもよい(△印) 2 下三字は●○●となってもよい。五言詩の...

董大に別る  <高 適>

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  https://youtu.be/PT-14iLKL-c?si=6Yv1cIvTts9lKAQ7 https://youtu.be/b4ezOhFmVws?si=7etdwBqk_5GVRT4T 読み方 董大に別る  <高 適> 十里黄雲 白日曛し 北風雁を吹いて 雪紛紛 愁うる莫れ前路 知己の無きを 天下誰人か 君を識らざらん とうだいにわかる <こう せき> じゅうりおううん はくじつくらし ほくふうかりをふいて ゆきふんぷん うれうるなかれぜんろ ちきのなきを てんかたれびとか きみをしらざらん 詩の意味  見渡す限り黄色がかった黄昏(たそがれ)の雲が垂れこめ、太陽の光さえも薄暗い。北風は空ゆく雁の群れを吹き送り、雪まで紛々と降りしきる。  このような夕べ、君は別れて遠く旅するのであるが、董大よ、君の行く先に親友がいないなどと心配しなさるな。天下に琴の名手である君の名を知らない人は誰一人としていないのだから。 語句の意味 董 大 董庭蘭(とうていらん)のこと 当時琴の名手であった 高適の親友 「大」は排行(はいこう)で一族の最年長者の男子を表す または尊敬する人につける敬称 曛 光が暗くなるようす 紛 紛 盛んに入り乱れるさま 知 己 知人 鑑賞  他郷にも知人はいるからサア元気を出して  作られた時期や二人の関係は不詳であるが、北風、雁、雪などの語から作者がチベット討伐(とうばつ)に当たっていた成都尹・剣南陝西節度使のころかもしれない。  前半の二句は、寒さのしみる初冬の風景だが、同時に、空をいく雁に北風や雪が吹きつけるごとく、董大がこれから歩む人生で味わう辛苦のほどを暗示している。後半の二句は、君は孤独なんかではない、琴の名手で長安では知らない人はいないほどの腕前だったというから、あちらに行っても君を慕う人はたくさんいるんだと励ましている。送別詩として有名な「元二を送る」(王維)の結句と比較すると面白い。王維は「(君が)陽関を出るともう知人はいないだろう」と言い、こちらは「知人はいくらでもいるだろう」と送る。両者とも心から旅人を慰め励ましていることに変わりはない。 備考  河南省開封市に祀(まつ)られている所は三賢祠(さんけんし)と呼ばれ、李白、杜甫、高適の三詩人が旅をした場所でもある。 参考  節度使について  官名。唐・宋時代に異民族に備え...