高市首相「存立危機事態」言論引發中國過度敏感,背後是習近平外交立場轉變
好的,以下是完整修訂後的中文譯文(已修正為「川普總統」,並潤飾為自然流暢的繁體中文版本):
中國對高市首相「存立危機事態」發言過度反應
背景是習近平主席的外交立場轉向
東亞「深層取材筆記」第305回
2025年11月12日
文/近藤大介(記者、明治大學講師)
一、「存立危機事態」爭議的起點
11月7日,日本立憲民主黨外交與安全保障調查會長岡田克也,在眾議院預算委員會上質詢剛上任、尚不熟悉國會答辯節奏的高市早苗新首相。這場質詢引起了廣泛爭議。
岡田問道:「如果中國封鎖台灣與菲律賓之間的巴士海峽,日本會如何因應?」
高市首相回答說:「若中國動用軍艦等武力手段,那無論如何都可能構成『存立危機事態』。」
這句「存立危機事態」引起了後續風波。11月10日的預算委員會上,立憲民主黨的大串博志議員要求高市撤回或更正發言,但高市首相堅定拒絕。
所謂「存立危機事態」,是2003年通過的《有事法制》所定義的概念,意指:「對與我國有密切關係的他國發動武力攻擊,導致日本的存立受到威脅,國民的生命、自由與幸福追求權遭到根本破壞的明確危險之情況。」
它介於「重要影響事態」(放任不管可能導致對日本的直接武力攻擊)與「武力攻擊事態」(日本已遭受或即將遭受直接攻擊)之間。根據該定義,日本自衛隊可因此而出動。
然而,這次國會答辯讓中國出現了另一種「危機事態」——那就是,北京的過度反應。
二、中國的激烈反應
在11月10日中國外交部例行記者會上,中國評論通訊社(香港)的記者率先提問,要求外交部就高市發言表態。顯然,這是北京安排的「預設問題」。
發言人林劍神情嚴肅,照稿念出一段長篇譴責:
「日本的領導人在國會上公然發表錯誤言論,暗示可能對台灣海峽進行武力干預,粗暴干涉中國內政,嚴重違反一個中國原則、中日四個政治文件精神與國際關係基本準則。這也與日本政府以往的政治承諾完全不符,性質與影響極為惡劣。中國對此強烈不滿並堅決反對,已向日方提出嚴正交涉與強烈抗議。
台灣是中國的台灣。台灣問題最終將以中國方式解決,國家統一終將實現,這是中國內政,不容任何外部勢力干涉。
日本領導人此言,究竟想向『台獨勢力』傳遞什麼訊號?是否企圖挑戰中國核心利益,阻撓中國統一大業?日本到底想把中日關係引向何處?
今年是中國人民抗日戰爭暨世界反法西斯戰爭勝利80周年,同時也是台灣光復(脫離日本殖民統治)80周年。日本曾在台灣施行殖民統治,罪行罄竹難書。
日本政客若妄想介入台灣海峽事務,不僅踐踏國際正義,更是對戰後國際秩序的挑戰,嚴重破壞中日關係。
中國終將統一。中國人民意志堅定、信念充足、能力完備。任何阻撓中國統一的陰謀,都將被堅決粉碎。中國敦促日本立即停止干涉中國內政,停止越界挑釁,不要繼續在錯誤的道路上越走越遠。」
這番話措辭嚴厲,長度與火力都極為罕見。
三、北京反應背後的「外交轉向」
中國外交部這樣長篇批評日本政府,已是久違的現象。部分原因是,日本政權從相對溫和的石破茂內閣,轉為強硬的高市早苗內閣,北京想藉此施壓示警。
但更深層的背景,與中國內部政治變化有關——尤其是上月20日至23日召開的中共二十屆四中全會。
中國政治基本在兩個力量之間擺盪:「緊」(加強管控,維護體制安全)與「鬆」(放寬控制,促進經濟發展)。
習近平自上台以來,一直偏向「緊」的一方。然而,隨著中國經濟急速下滑,到了難以維持的地步,去年3月全國人大會議後,習一度試圖轉向「鬆」。
當今年1月太平洋彼岸的唐納德・川普重新就任美國總統,開始高舉關稅政策後,中國為了因應其貿易壓力,於4月8、9日召開「中央周邊工作會議」。習近平在會上明確下令:「放棄戰狼外交,推動周邊友好。」這使得對日外交也一度轉向柔軟。
然而,四中全會後,習近平的政治風向再次回歸「緊」。
四、「進博會」的信號與中日關係的未來
本月5日至10日,上海舉辦第8屆「中國國際進口博覽會」(進博會)——這是習近平為了回應「中國只會出口、不重視進口」的國際批評,自2018年起設立的國家級展會。
在第1、2屆時,習近平親臨上海發表主題演說,宣示「中國要成為進口大國」。但自疫情後,他改以線上致詞;去年起甚至交由李強總理主持,今年則完全缺席。
取而代之的,是他登上海南島的「福建號」航母,並出席廣州的「全國運動會」以展示國威。這些行程顯示,習近平重回軍事與民族主義的「緊」之路。
因此,高市早苗的「存立危機事態」發言,不只是單一外交口角,而可能成為中日關係惡化的導火線。
尤其當前美國同盟的支撐力減弱。川普總統在10月30日的美中峰會後竟宣稱「沒有談論台灣」,這種態度令日本政府倍感孤立。
高市內閣又缺乏與中國溝通的管道——過去擔任中日潤滑角色的自民黨幹事長森山裕與公明黨如今皆不在核心圈。
在此局勢下,「中國問題」極可能成為高市政權的阿喀琉斯之踵,未來情勢值得高度警惕。
是否希望我幫你把這篇譯文轉成適合台灣媒體(如《風傳媒》或《上報》)風格的評論版?
我可以幫你調整成更像「國際觀察專欄」的稿件語氣。
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東亞「深層觀察筆記」(第305期)
2025.11.12(週三)
近藤大介
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11月7日,眾議院預算委員會上答辯的高市早苗首相(照片:つのだよしお/アフロ)
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高市首相答辯中備受關注的「存立危機事態」究竟是什麼?
曾任外務大臣的立憲民主黨外交・安保綜合調查會長岡田克也,11月7日在眾議院預算委員會上,彷彿「引導」不慣國會答辯的高市早苗新首相般提出質詢,引發爭議。
岡田問道:若台灣與菲律賓之間的巴士海峽遭中國封鎖,日本該如何應對?高市首相答:「若動用軍艦並伴隨武力行使,無論如何都會構成存立危機事態。」
這句「存立危機事態」被視為問題,10日預算委員會上,立憲民主黨議員大串博志也猛烈抨擊,要求「撤回或取消發言」。高市首相則強硬回絕。
事情大致就是這樣。
「存立危機事態」出自2003年制定的有事相關三法中的《事態對處法》(《武力攻擊事態等中確保我國和平獨立及國民安全的法律》),意指:「對與我國關係密切的他國發動武力攻擊,進而威脅我國存立,國民生命、自由與追求幸福的權利面臨根本顛覆的明顯危險」。
它介於「重要影響事態」(若置之不理,可能演變為對日直接武力攻擊)與「武力攻擊事態」(日本已遭或即將遭受直接武力攻擊)之間,據此可啟動自衛隊防衛出動。
看著這場國會直播,身為中國觀察家的我,開始擔心「另一場危機」——中國的「過敏反應」。
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11月10日中國外交部例行記者會上,第一個問題就由中國評論通訊社香港記者提出,要求評論「高市發言」(實則由外交部安排)。發言人林劍神情嚴肅,照稿長篇大論。
中國外交部發言人林劍(照片:共同社)
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「日本到底想把中日關係帶向何方?」
<日本領導人近日在國會公然發表干涉台灣的錯誤言論,暗示可能武力介入台海。
這是對中國內政的粗暴干涉,嚴重違反一個中國原則、中日四個政治文件精神及國際關係基本準則,也完全背離日本政府過往政治承諾,性質惡劣、影響極壞。中方表示強烈不滿、堅決反對,已向日方提出嚴正交涉與強烈抗議。
台灣是中國的台灣。台灣問題無論以何種方式解決,國家統一必將實現。這純屬中國內政,不容任何外部勢力干涉。
日本領導人此言,究竟想向「台獨」勢力傳遞什麼信號?是否意圖挑戰中國核心利益、阻撓統一大業?日本到底想把中日關係帶向何方?
今年是中國人民抗日戰爭暨世界反法西斯戰爭勝利80周年,也是台灣光復80周年。日本曾殖民台灣,罪行罄竹難書。
日本當政者妄圖插手台海事務,是踐踏國際正義、挑戰戰後國際秩序,同時嚴重破壞中日關係。
中國終將統一,也必然統一。中國人民意志堅定、信念充足、能力充沛。任何阻撓統一大業的圖謀都將被徹底粉碎。中方敦促日方立即停止干涉中國內政,停止越線挑釁,勿在錯誤道路上越走越遠。>
以上。
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外交部發言人如此長篇抨擊日本政府,實屬罕見。日本政權從相對溫和的石破茂內閣轉向強硬的高市早苗內閣,中國或有「先發制人、敲山震虎」之意。
但我同時感受到「中國自身的變化」。關鍵在於上月20至23日召開的中共一年一度重要會議——二十屆四中全會。
習近平外交立場轉變
中國政治本質上是一場「緊」與「鬆」的拉鋸戰:前者收緊社會、鞏固社會主義體制;後者放鬆管制、促進市場經濟發展。
習近平總書記向來屬「緊」的一派。13年來,他也確實如此執政。
然而,中國經濟失速已難以挽回。依我觀察,自去年3月全國人大起,他開始向「鬆」轉向。
今年1月川普重掌白宮、揮舞關稅大棒後,4月8至9日召開「中央周邊工作會議」,習近平下令棄「戰狼外交」,轉向「與周邊國家友好」。對日外交也隨之鬆綁。
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然而,上月四中全會卻顯示回歸「緊」的跡象,風向再變。
例如,本月5至10日在上海舉辦的第8屆「進博會」(中國國際進口博覽會),是習近平2018年為反擊「中國只出口不進口」批評而親自推動的年度盛事。
前兩屆他親赴上海,宣示「中國要做進口大國」。之後因疫情改線上致詞。
但從去年第7屆起,他交給二把手李強,自己不再露面。今年更完全缺席。同期,他卻登上海南軍事基地第三艘航母「福建」,或赴廣州出席彰顯國威的「全運會」(第15屆全國運動會)。
與中國管道日漸稀薄
從這些跡象看,遠不止高市「存立危機事態」發言的爭議,更深層的中日關係惡化令人憂慮。
偏偏盟友美國現由一位極不負責任、在10月30日中美首腦會談後謊稱「沒談台灣」的大統領執政。
高市政權既無過去對中溝通管道森山裕幹事長,也無公明黨。中國議題恐成其阿基里斯腱,務必高度警惕。
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高市首相的「存立危機事態」發言對中國過敏反應,背後是習近平主席的「外交立場轉變」
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11月7日,在眾議院預算委員會上答辯的高市早苗首相(照片:つのだよしお/アフロ)
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高市首相答辯中備受矚目的「存立危機事態」是什麼
曾任外務大臣的岡田克也・立憲民主黨外交・安全保障綜合調查會長,在11月7日的眾議院預算委員會上,彷彿「引導」不慣國會答辯的高市早苗新首相般進行質詢,引發爭議。
岡田氏詢問,若台灣與菲律賓之間的巴士海峽被中國封鎖,日本將如何應對。高市首相回答:「若使用軍艦並伴隨武力行使,無論如何都會成為存立危機事態。」
這句「存立危機事態」發言被視為問題,10日的眾院預算委員會上,立憲民主黨的大串博志議員也「咬住不放」,要求「撤回或取消發言」。但高市首相予以駁回。
大致就是這樣的經過。
「存立危機事態」是2003年制定的有事相關三法中的事態對處法(武力攻擊事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律)所規定的概念。指「對與我國關係密切的他國發生武力攻擊,進而威脅我國存立,國民的生命、自由及追求幸福的權利面臨從根本被顛覆的明顯危險的事態」。
位於「重要影響事態」(若置之不理,有可能導致對我國直接武力攻擊的事態)與「武力攻擊事態」(對日本發生直接武力攻擊或其明顯危險迫在眉睫的事態)之間。藉此,可讓自衛隊進行防衛出動。
觀看這場國會直播,身為中國觀察家的我開始關注「另一個危機事態」。那就是中國的「過敏反應」。
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11月10日的中國外交部例行記者會上,當天第一個提問由中國評論通訊社的香港記者提出,要求對這一「高市發言」進行評論(實際上,等同於中國外交部利用中國評論通訊社來提問)。林劍發言人面容嚴肅,邊看準備好的稿子邊長篇大論。
中國外交部發言人林劍(照片:共同通訊社)
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「日本究竟想把中日關係引向何方?」
<日本領導人近日在國會上公然發表干涉台灣的錯誤言論,暗示可能對台灣海峽進行武力干預。
這是對中國內政的粗暴干涉,嚴重違反一個中國原則、中日間四個政治文件的的精神,以及國際關係基本準則。同時也完全不符合日本政府迄今為止的政治承諾,其性質和影響極其惡劣。中方對此表示強烈不滿,堅決反對。已向日方提出嚴正交涉和強烈抗議。
台灣是中國的台灣。無論以何種方式,台灣問題都將得到解決,國家統一必將實現。這純粹是中國內政,不容任何外部勢力干涉。
日本領導人發表此類言論,究竟想向「台獨」勢力發出什麼信號?是否有挑戰中國核心利益、阻撓中國統一大業的意圖?日本究竟想把中日關係引向何方?
今年是中國人民抗日戰爭・世界反法西斯戰爭勝利80周年,同時也是台灣光復(從日本殖民地解放)80周年。日本曾對台灣實施殖民統治,犯下罄竹難書的罪行。
日本當政者妄圖介入台灣海峽事務,是踐踏國際正義,對戰後國際秩序的挑戰。同時也是對中日關係的嚴重破壞。
中國終將統一,也必然統一。中國人民的意志堅定,信念充足,能力充沛。任何試圖阻撓中國統一大業的圖謀,都將被堅決粉碎。中方敦促日本立即停止干涉中國內政,停止越線挑釁,不要在錯誤的方向上越走越遠>
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高市首相的「存立危機事態」發言對中國過敏反應,背後是習近平主席的「外交立場轉變」
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外交部發言人如此長篇大論地批判日本政府,已是久違之事。日本政權從對中國相對溫和的石破茂內閣轉為強硬的高市早苗內閣,或許有「先威嚇一番」的意圖。
但與此同時,我也感受到「中國自身的變化」。其背後是上月20日至23日召開的中國共產黨一年一度的重大會議「四中全會」(中國共產黨第二十屆中央委員會第四次全體會議)。
習近平主席的外交立場發生變化
中國政治基本上是由「緊」(收緊)和「鬆」(放鬆)這兩個相反方向的向量拉扯而成。前者是收緊社會,構築安全的社會主義體制。後者是放鬆社會,促進市場經濟發展。
習近平總書記基本上是站在「緊」一方的領導人。實際上,自13年前成為共產黨最高領導人以來,一直貫徹這一路線。
然而,中國經濟失速已到了難以收拾的地步。因此,在我看來,自去年3月的全國人民代表大會(國會)為契機,開始向「鬆」方向轉變。
今年1月,太平洋彼岸的唐納德・川普總統就任,揮舞關稅大棒後,為應對此舉,於4月8日至9日召開「中央周邊工作會議」。習近平主席下令放棄此前的「戰狼外交」(如狼般戰鬥的外交),轉而「與周邊國家友好相處」。受此影響,對日外交也轉向「鬆」。
高市首相的「存立危機事態」發言對中國過敏反應,背後是習近平主席的「外交立場轉變」
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然而,上月的「四中全會」顯示出回歸原本習近平政治的「緊」路線。潮流再次改變。
例如,本月5日至10日在上海舉辦的第8屆「進博會」(中國國際進口博覽會)。這是為迴避海外「中國只輸出不進口」的批評,由習近平主席親自推動,於2018年開始的每年11月的國家級活動。
第1屆和第2屆,習主席親赴上海,發表「中國將成為進口大國」的主旨演說。其後因疫情進入線上演講。
然而,從去年的第7屆開始,交由二號人物李強總理參加,自己不再出席。今年更是完全無視。其間,他登上海南島軍事基地的第3艘航母「福建」,或在廣州出席彰顯國威的「全運會」(中華人民共和國第15屆運動會)。
逐漸變細的與中國的管道
從這樣的趨勢來看,不僅僅是高市首相「存立危機事態」發言的來龍去脈,更深層次的中日關係惡化令人擔憂。
恰巧盟友美國在10月30日的中美首腦會談後,統治者是一個極不負責任、謊稱「沒談台灣問題」的大統領。
高市政權中,既無此前擔任對中管道的森山裕幹事長,也無公明黨。需高度警惕中國問題成為阿基里斯腱。
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高市首相の「存立危機事態」発言に過敏反応する中国、背景にあるのは習近平主席の「外交スタンスの転換」
東アジア「深層取材ノート」(第305回)
2025.11.12(水)
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11月7日、衆議院予算委員会で答弁に立つ高市早苗首相(写真:つのだよしお/アフロ)
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高市首相の答弁で注目される「存立危機事態」とは何か
外務大臣経験者でもある岡田克也・立憲民主党外交・安全保障総合調査会長が、11月7日の衆議院予算委員会で、まるで国会答弁に慣れない高市早苗新首相を「誘導するかのように」行った質疑が、物議を醸している。
岡田氏は、台湾とフィリピン間のバシー海峡を中国に封鎖された場合、日本がどう対応するのかと問うた。それに対して高市首相は、「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答えた。
この「存立危機事態」発言が問題だと、10日の衆院予算委でも、立憲民主党の大串博志議員が、「発言の撤回や取り消しを求める」と噛みついた。だが高市首相は、これを突っぱねた。
ざっとこのような経緯である。
「存立危機事態」は、2003年に成立した有事関連三法の事態対処法(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律)で定めた概念だ。「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を指す。
「重要影響事態」(そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態)と、「武力攻撃事態」(日本への直接的な武力攻撃が発生したか、その明白な危険が切迫している事態)の間に位置する事態である。これによって、自衛隊の防衛出動を可能にしている。
この国会中継を見ていて、中国ウォッチャーの私は「もう一つの危機事態」が気になりだした。それは中国の「過敏な反応」である。
高市首相の「存立危機事態」発言に過敏反応する中国、背景にあるのは習近平主席の「外交スタンスの転換」
東アジア「深層取材ノート」(第305回)
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11月10日の中国外交部定例会見で、この日の最初の質問として、中国評論通信社の香港の記者が、この「高市発言」に対するコメントを求めた(実際は、中国外交部が中国評論通信社を使って質問させたに等しかった)。林剣報道官は厳めしい表情で、用意した原稿を見ながら長広舌をぶった。
中国外務省の林剣報道官(写真:共同通信社)
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「日本は結局、中日関係をいかなる方向に導きたいのか?」
<日本のリーダーが先日、国会で公然と、台湾に干渉する錯誤的な言論を発表した。台湾海峡に武力介入する可能性を暗示したのだ。
中国の内政への粗暴な干渉は、一つの中国の原則、中日間の4つの政治文書の精神、及び国際関係の基本準則に厳重に違反するものだ。また日本政府がこれまで行ってきた政治的な承諾にもまったく合致せず、その性質と影響は極めて劣悪だ。中国側はこれに強烈な不満を持ち、決然たる反対をする。すでに日本側に、厳正な申し渡しと強烈な抗議を行ったところだ。
台湾は、中国の台湾だ。いかなる方式であれ台湾問題は解決するのであり、国家の統一は実現するのだ。これは純粋な中国の内政であり、いかなる外部勢力の干渉をも容認しない。
日本のリーダーがそのような発言をしたのは、結局のところ、『台湾独立』勢力にどんなシグナルを送りたいのか? 中国の核心的利益に挑戦したり、中国の統一の大業を阻止したりという意図があるのか? 日本はとどのつまり、中日関係をいかなる方向に導きたいのか?
今年は中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年であり、同時に台湾の光復(日本植民地からの解放)80周年でもある。日本はかつて台湾の植民地統治を実行し、枚挙にいとまのない罪行を犯した。
日本の為政者が台湾海峡への事柄に介入しようと妄想を抱くことは、国際的な正義を踏みにじることであり、戦後の国際秩序への挑戦である。同時に、中日関係を厳重に破壊することでもある。
中国はしまいには統一されるし、必ずや統一する。中国人民の意志は固く、信念は十分で、能力は満ち足りている。中国統一の大業を阻止しようと手を差し挟む謀略は、すべて決然と粉砕する。中国は日本に、中国への内政干渉の即時停止を促す。線を越えた挑発は停止し、錯誤の方向へ向かってどんどん進んでいくべきではない>
以上である。
高市首相の「存立危機事態」発言に過敏反応する中国、背景にあるのは習近平主席の「外交スタンスの転換」
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外交部の報道官が、これだけ長々と日本政府を批判するのは、久方ぶりのことだ。日本の政権が、中国に比較的融和的だった石破茂内閣から、強硬な高市早苗内閣に変わったため、一発威嚇しておこうという意図もあったろう。
だがそれと同時に、「中国自身の変化」も感じたのだ。その背景にあるのは、先月20日から23日まで開かれた中国共産党の年に一度の重要会議「4中全会」(中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議)である。
習近平主席の外交スタンスが変化
中国政治というのは基本的に、「緊」(ジン)と「松」(ソン)という逆方向に向くベクトルの引っ張り合いで成り立っている。前者は、社会を引き締めて安全な社会主義体制を構築すること。後者は、社会を緩めて市場経済による発展を促していくことである。
習近平総書記は、基本的に「緊」の側に立つリーダーである。実際、13年前に共産党トップに就いて以来、そうした路線を貫いてきた。
ところが中国経済の失速が、いかんともしがたいところまで来た。それで私が見るに、昨年3月の全国人民代表大会(国会)を契機として、「松」に方向転換を図った。
今年1月に太平洋の向こう側でドナルド・トランプ大統領が就任し、関税を振りかざすようになると、その対策のため、4月8日と9日に「中央周辺工作会議」を開いた。それまでの「戦狼(せんろう)外交」(狼のように戦う外交)を捨てて、「周辺諸国との友好を図れ!」と、習近平主席が号令をかけたのだ。その影響で、対日外交も「松」に転じた。
高市首相の「存立危機事態」発言に過敏反応する中国、背景にあるのは習近平主席の「外交スタンスの転換」
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ところが、先月の「4中全会」で見られたのは、元の習近平政治である「緊」に回帰していく流れだった。再び潮目が変わったのである。
例えば、今月5日から10日まで、上海で8回目の「進博会」(ジンボーフイ=中国国際輸入博覧会)が開かれた。これは、「中国は輸出ばかりしている」という海外の非難をかわすため、習近平主席の肝煎りで、2018年に始めた毎年11月に行う国家級のイベントだ。
1回目と2回目は習主席が上海に赴き、「中国は輸入大国を目指す」という基調演説をぶった。以後はコロナ禍に入ったため、オンラインでスピーチした。
しかしながら、昨年の第7回から、ナンバー2の李強首相に任せて参加しなくなった。今年は完全無視だった。その間、海南島の軍事基地で3隻目となる空母「福建」に乗り込んだり、広州で国威発揚のための「国体」(中華人民共和国第15回運動会)に出席したりしているのだ。
細る中国とのパイプ
こうした流れを見ると、単に高市首相の「存立危機事態」発言を巡るやりとりというより、もっと深いところで日中関係の悪化が懸念されるのである。
折しも同盟国のアメリカは、10月30日の米中首脳会談後に、「台湾の話はしていない」などと嘯(うそぶ)く無責任極まりない大統領が統治している。
高市政権には、これまで中国とのパイプ役だった森山裕幹事長も、公明党もいない。中国問題がアキレス腱とならぬよう要警戒である。