元二を送る <王維>
@但4 元二を送る <王維> 渭城の朝雨 軽塵を浥す 客舎青青 柳色新たなり 君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒 西のかた 陽関を出ずれば 故人無からん げんにをおくる <おうい> いじょうのちょうう けいじんをうるおす かくしゃせいせい りゅうしょくあらたなり きみにすすむ さらにつくせ いっぱいのさけ にしのかた ようかんをいずれば こじんなからん 詩の意味 渭城の朝の雨は軽い土ぼこりをしっとりと濡らし、 旅館の前の柳は雨に洗われて青々として、ひときわ鮮やかである。 (さて君はこれから遠く安西=あんせい=に使いするために旅立つのであるが) さあ、もう一杯飲み干したまえ。 西の方(かた)陽関を出てしまったら、もう君に酒を勧めてくれる友人もいないであろうから。 鑑賞 本題は「元二の安西に使いするを送る」といいます。当時は柳の枝を別れ際に折り取って手渡す習慣がありました。その柳をしみじみ眺めている作者がいます。 渭城から安西まで何千キロもあります。 そこは砂漠地帯で、ほとんど人は住んでいない辺境 の地なのです。 いったん別れると生きては会うことのできない当時の別れの、つらく悲しい思いがあふれ、読む人の涙を誘います。 これに勝る送別の詩はないと言ってもいいでしょう。 【語句の意味】 元二:王維の友人で元という性の人、「二」は一族のうちで上から二番目の男子の事 安西:今のウイグル自治区クチャ県 唐時代にはそこに都護府 (とごふ=軍隊を用いて辺地を警備監督する役所)を置き西域の守護に当たらせた 渭 城:長安の西北で渭水の北側にある町 当時西方に旅立つ人をここまで見送る習慣があった 柳 色:柳の枝の色 別れの際には柳の枝を輪にして持たせる習慣がありその柳を想定している 陽 関:中国と西域を区切る関所 砂漠地帯にあり玉門関と並んで有名 故 人:中国では親しい友人