孟浩然「春曉」




公益社団法人 関西吟詩文化協会
漢詩紹介


読み方

春暁<孟浩然>

春眠 暁を覚えず
処処 啼鳥を聞く
夜来 風雨の声
花落つること 知んぬ多少ぞ

しゅんぎょう<もうこうねん>
しゅんみん あかつきをおぼえず
しょしょ ていちょうをきく
やらい ふううのこえ
はなおつること しんぬたしょうぞ
詩の意味
 春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまったが、ふと眼をさませばあちこちで小鳥の啼く声がきこえる。
 そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。あの嵐で庭の花はさぞたくさん散ったことだろう。

鑑賞
ゆく春を惜しむ孟浩然

 「春眠暁を覚えず」の名句を知らない人はいないほど有名な詩で、のどかな春の暁の景を歌っています。さわやかな朝の空気、あふれる日の光や花の散り敷いた庭などを思い浮かべながら、行く春を惜しむ情感が巧みに表現されています。朝寝坊ができるほどの静かな生活は役所勤めの多忙な役人にはできない。この詩は作者が官僚を辞して後の隠棲閑居のころの作だろうといわれています。


語句の意味
春 暁
春の日の明け方
春 眠
春の夜の心地よい眠り
不覚暁
夜が明けたことに気付かないで
処 処
あちらこちら
夜 来
昨夜 (一説に昨夜からずっとというのもある)
多 少
どのくらい多く
詩の形
 五言古詩の形であって、仄韻で上声十七篠(じょう)韻の暁、鳥、少の字が使われている。

結句 転句 承句 起句
   
   
   
   
   
作者略伝
孟浩然 689-740

盛唐の詩人

 湖北省襄陽の人。科挙の試験に失敗し、一時は山に隠棲していたが、40歳の時、長安に出て詩才を認められた。王維の紹介で皇帝にも会見ができる身分になったが、のち詩句の一部が玄宗の不快を誘い追放された。終生政府役人には就けず、不遇な一生を送り、故郷で没した。平淡清雅の作風で五言律詩を得意とし、自然詩人として王維と並び称せられる。享年52歳。

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2026年3月16日 11:18

唐・孟浩然もうこうねんの詩は、平淡自然でしかも温かみのある情趣を湛えている。五言絶句「春曉」は、平易な言葉を以て春の風趣を存分に伝えている。描かれている光景は、窓を開けて目に入った景色ではなく、前夜の風雨から庭の様子を想像した景色である。まだ寝床の中で、夢うつつの脳裏に展開される春の情景、そうした詩人の想像を読み手が想像するという仕組みになっている。

春眠不覺曉

處處聞啼鳥

夜來風雨聲

花落知多少


春眠 を覚えず

処処 啼鳥を聞く

夜来 風雨の声

花落つること 知る多少


春眠(しゅんみん) 暁(あかつき)を覚(おぼ)えず

処処(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く

夜来(やらい) 風雨の声

花落つること 知る多少

   
   

春の眠り いつしか 夜が明け
あちら こちら 鳥のさえずり
昨夜は ずっと はげしい風雨
花は どれほど 散っただろう

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