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覚悟しない国
熱風の日本史 井上亮 2014年
明治から平成までの時々の社会の風潮を方向づけた者、扇動した者、された者、踊った者と排他された者、そうした日本人の素顔が描かれていた。
明治から敗戦までの民意の高揚と消沈、それはこんなキーワードの順番になるようだ。西洋への傾倒、旧弊打破、皮相な開花(漱石評)、神道への反転、決戦の覚悟、薄氷勝利、熱狂、驕り、外国蔑視、都市文化の開花、格差、底辺への抑圧・切り捨て、戦争気運、開戦願望、思想統制、妄信、転向、阿諛追従。著者はこうした流れを煽り演出したのがメディアであると言う。
戦後の風潮の浮沈は、こんな流れのようだ。自己否定、伝統忌避、経済邁進、資本妄信、マルクス妄信、自由妄信、拝金、自虐、自慰。こうした二項対立単純パターン思考が、社会を覚悟のない社会に見せている気がする。時々に演出するのがメディアで、メディア自身も収益のためなら皮相的扇動記事を選ぶようだ。
「ふしぎなイギリス」では、イギリスは多元的で意見対立しながらも覚悟を決められる社会である印象を受けた。スコットランドの独立を選挙で決着つけたのは、双方、覚悟の上での話と思う。
一方、我が方では、引用報道、付和雷同、中庸が特徴である一方、専横報道、集団狂騒、極論もまた特徴であるようで、「本当のところ、運転席に誰もいない状態なのか、国民はコントロールされている振りをしているだけで、実は、誰もコントロールしていないのが実情ではないのか」(ピーター・ティール)と思われてしまう始末だ。
覚悟する時が来ない方がよいが、果たして覚悟できるのであろうか。
覚悟とは、新明解によると、「㊀困難であっても、絶対に実行しようと、心を決めること。㊁危険・(不利)な結果がでるかもしれないと予測して、心を決めること。」だそうだ。
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