公益社団法人 関西吟詩文化協会漢詩紹介
CD①収録 吟者:大取鷲照
2014年8月掲載
読み方
涼州詞<王翰>
葡萄の美酒 夜光の杯
飲まんと欲して琵琶 馬上に催す
酔うて沙場に臥す 君笑う莫れ
古来征戦 幾人か回る
りょうしゅうし<おうかん>
ぶどうのびしゅ やこうのさかずき
のまんとほっして びわ ばじょうに もよおす
ようて しゃじょうにふす きみ わろうなかれ
こらいせいせん いくにんか かえる
译文:
夜光杯に葡萄のうま酒が注がれる。
飲み干そうとしたその時、馬に乗り戦場に出よと促す琵琶の音が聞こえた。
私が战场に酔って倒れても笑うなよ。
古代の戦いから何人が生きて帰ってきた?
宴会では、夜光杯に甘いブドウ酒が注がれ、
飲もうとすると、馬上で琵琶が鳴り響き、まるで出陣を促すかのようだった。
战场の上に酔っている場合は、笑わないでください、
古代から、どれだけの人々が戦争に出ることができる家に帰ることができますか?
精巧な盃には甘いブドウ酒が注がれ、
戦士たちは自由に飲もうとしていたが、琵琶の切迫した音色に促されて戦場に向かう。
もし私が戦場で酔っ払っても、どうか笑わないでほしい。
戦争から帰ってきた人がどれだけいるだろうか?
【通 釈】
葡萄のうま酒を,夜光杯で飲もうとしていると,
誰かが馬上で 琵琶をかなで 美しい音色を響かせている。
酒に酔いつぶれ 砂漠の上に倒れ伏してしまったが こんな ぶざまな姿を見て 笑わないでくれ。
昔から 戦に行って いったい 何人帰って来ただろうか。
私も、明日の命がわからないのだから。
詩の意味
涼州の地に駐屯した出征兵士にとっては、名物の葡萄のうま酒を、月の光に照らされる杯で飲むのがもっとも趣きがある。今、それを飲もうとすれば、馬上でかき鳴らす琵琶の調べが酒杯を促すようである。
今、戦(いくさ)に出ようとするこの砂漠に酔い臥すことがあっても、人々よ笑わないでほしい。昔から遠く西域への戦にかり出された人たちの中で、幾人が無事に故郷に帰ることができただろうか。
鑑賞
初唐七言絶句の第一と評される悲壮な詩
西北の国境へ行って守備をする兵士の胸のうち、「明日は死ぬかも知れない身であり、せめてつかの間のなぐさめだ。飲んだり歌ったりの酔態は、許してやって、どうぞ笑わないでほしい」と、国の役人である作者が同情しているのです。
語句の意味
葡萄美酒
西域地方産の最高級のブドウ酒
夜光杯
西域地方名産の白玉(はくぎょく=大理石の一種)で作った杯 それ自体が光を受けて透明に光る部分が夜の光を感じさせる
琵 琶
木製の弦楽器で胴に柄があり四弦(五弦もある) 胴はなすび形で平たい 起源はペルシャ・アラビアとされインド・西域・中国を経て奈良時代に我が国に伝来した ここでは胡地特有の馬上の楽器
催
(杯を干せと)うながすように (琵琶を)かきならす
沙 場
(戦場である)砂漠
詩の形
平起こり七言絶句の形であって、上平声十灰(かい)韻の杯、催、回の字が使われている。
結句 転句 承句 起句
作者
王 翰 687-726
初唐から盛唐の政治家・詩人
山西省太原?の人。幼少時代から優れた才能の持ち主であったが、それにうぬぼれて、酒を好み馬を飼い、女性や楽士を集めて宴会や狩猟にふけった。24歳で進士に及第し順調に出世していたが行動に問題が多く、その後南方に左遷され、その地で死んだ。詩人としては名声を得、特に国境地帯の兵士を歌った辺塞詩に特色がある。享年40歳。
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