垓下歌 (古詩) 項羽
力抜山兮気蓋世
時不利兮騅不逝
騅不逝兮可奈何
虞兮虞兮奈若何
力は山を抜き気は世を蓋う
時利あらず騅逝かず
騅逝かざる奈何す可き
虞や虞や若を奈何せんと
力 山を抜き 気 世を蓋(おお)う
時 利あらず 騅(すい) 逝(ゆ)かず
騅の逝かざる奈何(いかん)すべき
虞や虞や 若(なんじ)を奈何せん
ちからやまをぬき きはよをおおう
ときりあらずして すいゆかず
すいのゆかざる いかんすべき
ぐやぐや なんじをいかんせん
力は山を抜き、気は世を蓋う。
時、利あらず、騅、逝かず。
騅の逝かざるを奈何にす可き。
虞や、虞や、若を奈何んせん。
私の力は山をも引き抜き、意気は世を蓋い尽すほどであった。
ところが、どうしたことだろう。
天が味方をしてくれず、おまけに愛馬の騅も進まなくなった。
騅が進まなければ、どうしょうもない。
虞や虞や、愛しいおまえをどうしょう・・・
返歌 (古詩) 虞美人
漢兵已略地
四方楚歌声
大王意気尽
賤妾何聊生
漢兵 已(すでに)地を略し
四方 楚歌の声
大王 意気(いき)尽(づ)く
賤妾(せんしょう)何ぞ生(せい)に聊(やす)んぜん
漢兵すでに地を略し、
四方に楚の歌声す。
大王の意気尽きたれば、
大王の意気尽きたれば、
賤妾なんぞ生をやすんぜん
超意訳
漢の兵士は既に大地(楚の領土)を攻略した。
四方から楚の国の歌が聞こえてくる。
大王(項羽)さまの溢れる気概が無くなれば、
この賤しい身分の私はなんで生きていけましょう。
超意訳
漢の兵士は既に大地(楚の領土)を攻略した。
四方から楚の国の歌が聞こえてくる。
大王(項羽)さまの溢れる気概が無くなれば、
この賤しい身分の私はなんで生きていけましょう。
漢の軍はすでに楚を攻略し、
四方には楚の歌声がする。
大王様が気力を無くされては、
私はどうして生きていられましょう。
秦の始皇帝の死後、圧政に苦しんだ人民の反乱が起き、
次第に楚の項羽と漢の劉邦の覇権争いに進みます。
当初は項羽が圧倒的に優勢であったが、次第に形勢は劉邦に傾き
垓下に追い込まれます。
取り囲んだ敵軍より故郷の楚の国の歌声が聞こえてくる。
最後を悟って、夜 別れの宴を開きます。
はらはらと涙を流す項羽に、虞美人は「返歌」で和し、
剣の舞をまって、その剣で自害します。
NO.2
項羽の死に対して後世の詩人の相反する考えの詩と
功成り遂げた劉邦の故郷へ錦を飾った時の詩を鑑賞下さい。
項羽の潔い死に対して杜牧は川を渡ってひとまず江東に落ち延び
再び力を蓄えて挑んだならば歴史はどうなったかわからないとうたいます。
それに対して宰相まで務めた優秀な政治家であった王 安石は
いくら江東に落ち延び力を蓄えても、もはや歴史を変える事など
出来なかっただろうと 批判的な目で見ています。
題烏江亭 烏江亭に題す 晩唐 杜牧
勝敗兵家事不期 勝敗は兵家も事 期せず
包羞忍恥是男児 羞を包み恥を忍ぶは是れ男児
江東子弟多才俊 江東の子弟 才俊多し
捲土重来未可知 捲土重来 未だ知るべからず
勝敗の行方は、軍人だって予測がつかない。
恥を包み、恥を忍んで、再起を図ってこそ真の男子といえよう。
項羽の本拠である江東には優れた子弟が多いいから、
力を蓄え、地を巻く様な勢いで、重ねて攻めのぼったなら、
その結果は分からない。
和題烏江亭 烏江亭に題すに和す 北宋 王 安石
百戦疲労壮士衰 百戦疲労し壮士衰しむ
中原一敗勢難廻 中原一敗 勢い廻(めぐらし)難し
江東子弟今雖在 江東の子弟 今在りと雖(いえど)も
肯与君王巻土来 肯えて君王の与(ため)に土を巻いて来たらんや
連戦に疲れ果て兵士たちは悲しみに沈んでいる。
中原での敗戦はもはや取り返し難い。
いくら優秀な江東の子弟があるといえども、
もはや君王の為に巻き返すなどするだろうか。
大風歌 大風(たいふう)の歌 高祖(劉邦)
大風起兮雲飛揚 大風起こりて雲飛揚す
威加海内兮帰故郷 威 海内(かいだい)に加わりて故郷に帰る
安得猛士兮守四方 安(いずく)にか猛士を得て四方を守らしめん
激しい風に雲が吹き上げられる。
私の威勢は国中に及び、今懐かしい故郷に帰ってきた。
これからは、武勇に優れた者を探し出し、国を守らせよう。
秦の始皇帝没後、大風に煽られるように各地で反乱が起こり
沢山の勇者が排出した。
その中、最後まで戦に勝ち残り、今ようやく故郷に帰ってきた。
さてこれからどのように国を守っていこうか・・・
この後、劉邦の打ち立てた漢王朝は約400年続きます。
題烏江亭 七言絶句
韻は「期」、「児」、「知」
和題烏江亭 七言絶句
韻は「衰」、「廻」、「来」
大風歌 雑言古詩
韻は「揚」、「郷」、「方」
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