アメリカ軍は日本兵の文化や心理をよく研究しており、捕虜への尋問・調査などで、「日本兵のモチベーションは愛国心などではなく体罰に対する恐怖、脱走した場合に親族が地域社会から受ける制裁に対する恐怖」であることを正確に把握していました。
確かに日本兵は兵站が貧弱で装備もお粗末、食料もロクに確保できていない割には、アメリカ軍に対してかなり善戦しています。
ただそれは、日本兵が、先述した恐怖から「自らの戦死を前提とした作戦からも逃れられない」ことが原因の一つで、決して日本兵が「精神的に逞しかった」「愛国の志に燃えていた」からなどではありません。
実際、連合国の捕虜になった日本兵は、第二次世界大戦における他のあらゆる国の捕虜よりも、連合国に対して協力的でした。
アメリカ兵、イギリス兵はドイツ兵に対するのと異なり、日本兵に対してはかなり強烈な人種差別意識を持っていたのですが、それでも日本兵捕虜に対する拷問がドイツ兵捕虜に対する拷問ほど苛烈でなかった理由は、ドイツ兵の多くは「例え拷問されても同胞を売るような情報は渡さない」というスタンスだったのに対し、日本兵の多くは、拷問をたてに脅すまでもなく、看守であるアメリカ軍/イギリス軍の歓心を買うために、同胞の生死に関わる情報を積極的に提供していたからです。
戦場では頑強な抵抗を示していた日本兵が、いざ捕虜となると同胞を裏切るような情報提供を嬉々として行なうことに驚愕したことが、アメリカ軍が日本兵の心理状態の研究を進めることになった理由だとも言われています。
あともう一つ、第二次世界大戦における一般的な軍隊では、前線で率先垂範し指揮を行うため、階級が高いほど戦死傷率が高い、というのが一般的でしたが、日本軍に限っては階級が高いほど、将官の方が兵卒より戦死傷率が低くなっていました。
戦場の指揮官が部下を捨てて逃亡する、というケースは日本軍において非常に頻繁に見られました。もちろん他国の軍隊でもありましたが、現場放棄をした司令官がたいした処分を受けていない、というのはほぼ、日本軍に特有の現象でした。
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