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老子3:物質主義に囚われず自然のままに生きる
老子第三章の原文と現代語訳、そしてその詳しい解説を以下に示します。 原文 不尚賢、使民不争。 不貴難得之貨、使民不為盗。 不見可欲、使民心不乱。 是以聖人之治、虚其心、実其腹、弱其志、強其骨。 常使民無知無欲。 使夫知者不敢為也。 為無為、則無不治。 現代語訳 賢い人を尊ばなければ、人々は争うことをしなくなる。 貴重なものを大切にしなければ、人々は盗みを働かなくなる。 欲しいものを目に見せなければ、人々の心は乱れない。 このため、聖人の治世では、人々の心を空虚にし、腹


老子6:深遠な母への入り口
老子第六章 原文 谷神不死,是謂玄牝。 玄牝之門,是謂天地根。 綿綿若存,用之不勤。 現代語訳 谷の神は永遠に死なず、それを深遠な母と呼ぶ。 深遠な母の門は、天地の根源と呼ばれる。 その存在は絶え間なく続き、その力を使い尽くすことはない。 解説 第六章では、老子が宇宙の根源的なエネルギーや原理について語っています。 「谷神」:谷のように空っぽで受け入れる性質を持つ「神」を指します。ここでの「神」は超自然的な存在というよりも、自然そのものやその背後にある原理を意味し


老子9:過ぎたるは及ばざるが如し?
老子第九章の原文と現代語訳およびその解説を行います。 原文 持而盈之,不如其已。 揣而銳之,不可長保。 金玉滿堂,莫之能守。 富貴而驕,自遺其咎。 功遂身退,天之道。 現代語訳 手に持って満たそうとするより、適度なところで止めるほうが良い。 刃物を研ぎ澄まし過ぎると、長くは保てない。 金や玉が家に満ちても、それを守ることはできない。 富と地位におごれば、自ら災いを招く。 功績を成したら身を退く、これが天の道である。 詳しい解説 第九章では、老子は「


老子12:感覚的刺激がもたらす弊害と、内面的な充足の重要性
原文(老子第十二章) 五色令人目盲。 五音令人耳聋。 五味令人口爽。 馳騁畋獵(ちていでんりょう)、令人心発狂。 難得之貨、令人行妨。 是以聖人為腹不為目、故去彼取此。 現代語訳 鮮やかな色彩に目を奪われると、目の本質を見失う。 美しい音楽に耳を傾けすぎると、耳の本来の働きを失う。 濃厚な味に舌鼓を打つと、舌の感覚が鈍る。 野を駆け巡り狩猟に熱中すると、心が乱れる。 手に入れにくい財宝を追い求めると、行いが妨げられる。 だからこそ、聖人は腹(本質)を満たし、目(表面


老子15:過剰を求めないからこそ
老子第十五章 原文 現代語訳 解説 老子第十五章では、古代の賢者がどのような性質を持っていたかについて述べられています。賢者たちは、深遠で計り知れない知恵を持ち、その行動や態度は、極めて慎重でありながらも柔軟で、自然の変化に対する適応力が優れていました。 1. 慎重さと柔軟さのバランス: 賢者たちが「冬の川を渡る時の慎重さ」を持っていたという部分は、慎重であることの重要性を示しています。冬の川は凍っているかもしれないが、どこまで固いかは分からない。賢者は、このような不


老子18:自然の大道から外れた様相
老子第十八章の原文読み下しと現代語訳、その詳しい解説を掲げます。 原文 大道廃(たいどうはい)すれば、仁義(じんぎ)あり。智慧(ちえ)出(い)ずれば、大偽(たいぎ)あり。六親(りくしん)不和(ふわ)なれば、孝慈(こうじ)あり。国家(こっか)昏乱(こんらん)すれば、忠臣(ちゅうしん)あり。 現代語訳 真の道が失われると、仁義が生まれる。知恵が現れると、大きな偽りが生じる。親族の間に不和があると、孝行や慈愛が強調される。国家が混乱すると、忠誠心のある臣下が現れる。 解説


老子21:「道(タオ)」の本質
老子第二十一章の原文と現代語訳およびその解説です。 原文 孔徳之容,唯道是从。 道之为物,惟恍惟惚。 惚兮恍兮,其中有象; 恍兮惚兮,其中有物。 窈兮冥兮,其中有精; 其精甚真,其中有信。 自古及今,其名不去,以阅众甫。 吾何以知众甫之状哉?以此。 現代語訳 偉大な徳のあり方は、ただ道に従うことである。 道というものは、ぼんやりとして捉えがたいものだ。 曖昧で朦朧としている中に、形があり、 朦朧として曖昧な中に、実体がある。 深遠で暗闇の中に、精


老子24:謙虚で自然体であることの重要性
老子第二十四章の原文と現代語訳、そしてその解説です。 原文 跖者不立、跨者不行。自見者不明、自是者不彰、自伐者無功、自矜者不長。其在道也、曰餘食贅行。物或惡之、故有道者不處。 現代語訳 つま先立ちする者は安定して立てず、大股で歩く者はうまく歩けない。自分の姿を見せびらかす者は明らかでなく、自分の正しさを誇る者は輝かない。自分の功績を誇る者には真の功績がなく、傲慢な者は長続きしない。道(タオ)に従う者にとって、これらの行為は余計なもの、無駄な行為である。人々はそれらを嫌


老子27:善人は悪人の師、悪人は善人の資
老子 第二十七章 原文 善行無轍跡,善言無瑕謗;善數不用籌策,善閉無關楗而不可開,善結無繩約而不可解。 是以聖人常善救人,故無棄人;常善救物,故無棄物。 是謂襲明。 故善人者,不善人之師;不善人者,善人之資。 不貴其師,不愛其資,雖智大迷。 是謂要妙。 現代語訳 善い行いをする者は跡を残さず、善い言葉を語る者には非難されることがない。 計算に長けた者は、計算道具を必要とせず、しっかりと閉じる者は鍵を使わずに開けられない。 うまく結ぶ者は、紐を使わずとも解けることがない。 だ


老子30:道に反する者は早く滅びる
老子第三十章 原文 現代語訳 「道(タオ)に従って人を助ける者は、武力を使って天下を治めようとはしない。 戦いという行為は、必ずしっぺ返しが来る。 戦場に兵が駐留した場所には、茨や棘が生い茂る。 大軍の後には、必ず凶作や苦難の年がやってくる。 賢い指導者は、目的を達成したらそれ以上を望まない。 達成しても誇らず、達成しても自慢せず、達成しても高慢にならず、達成はやむを得ないもので、決して武力を誇示しない。 ものごとは強大になりすぎると必ず衰える。これが道(タオ)に反すると


老子33:内なる充足と自己克服
老子第三十三章の原文と現代語訳、そしてその解説を示します。 老子第三十三章 原文 知人者智,自知者明。 勝人者有力,自勝者強。 知足者富,強行者有志。 不失其所者久,死而不亡者壽。 現代語訳 他人を理解する者は賢いが、自分を理解する者は本当に賢明である。 他人に勝つ者は力があるが、自分に勝つ者こそ本当に強い。 足ることを知る者は豊かであり、強く進む者には志がある。 自分の位置を失わない者は長く安定しており、死んでもその名が滅びない者こそ、真の長寿を得る。 解説 1


老子36:柔らかく弱いものが、硬く強いものに勝つ。
老子第三十六章の原文と現代語訳は以下の通りです。 原文 現代語訳 独自の視点での解説 老子第三十六章は、自然界の対立する力が、実は補い合い、支え合うことで成り立つことを説いています。この章の核心は、「柔弱勝剛強」という逆説的な原理です。柔らかく弱いものが、硬く強いものに勝つという考え方は、一見直感に反しますが、老子はこの考えを通じて、陰陽のバランスや道(タオ)の力を説明しています。 1. 対立するものの調和 老子は、何かを成し遂げたい場合、まずその反対のことを行う


老子39:石のように素朴であれ
老子第三十九章 原文 現代語訳 昔から、すべてのものは「一(道)」を得て、その本来の性質を発揮してきた。 天は「一」を得て清らかさを保ち、 地は「一」を得て安定し、 神は「一」を得て霊妙となり、 谷は「一」を得て満ち、 万物は「一」を得て生まれ、 侯王(為政者)は「一」を得て天下の正しさを保つ。 もし「一」を失えば、 天は清らかさを失い裂け、 地は安定を失い崩れ、 神は霊妙さを失い消え、 谷は満ちることなく枯れ、 万物は生まれず滅び、 侯王は尊貴さを失い倒れるだろう。 だ


老子42:陰陽の調和した「氣」
老子第四十二章の原文とその現代語訳、そしてそれに基づく解説を以下に示します。 原文 道生一 一生二 二生三 三生萬物 萬物負陰而抱陽 沖氣以為和 現代語訳 道(タオ)は一を生み、一は二を生み、二は三を生み、三は万物を生み出す。 万物は陰を背負い陽を抱き、調和した気が全てを成り立たせる。 詳しい解説 1. 道生一、一生二、二生三、三生萬物 この章の冒頭部分は、万物がどのようにして生まれたのかを簡潔に説明しています。「道(タオ)」とは、宇宙の根源的な法則や存在そのも


老子45:逆説的な真理
老子第四十五章の原文と現代語訳、そしてそれに基づく解説を以下に示します。 原文 大成若欠,其用不弊。大盈若沖,其用不窮。大直若屈,大巧若拙,大辯若訥。躁勝寒,静勝熱。清静為天下正。 現代語訳 大きな完成はまるで欠けているように見えるが、その力は尽きることがない。大いに満ちているものは、まるで空っぽのように見えるが、その力は尽きることがない。大きなまっすぐさは、まるで曲がっているように見え、大きな巧みさは、まるで拙さのように見え、大きな弁舌は、まるで言葉足らずのように見


老子48:手放して得られる道
老子第四十八章の原文 為学日益,為道日損。損之又損,以至於無為。無為而無不為。取天下常以無事。及其有事,不足以取天下。 現代語訳 学問を学ぶと、知識や技術が日々増えていく。しかし、道を修めるには、逆に日々何かを手放していくことが求められる。その手放しを続けていくと、最終的には「無為(なすことがない)」の境地に達する。「無為」の状態にある者は、すべてのことが自然に成し遂げられる。天下を治めるためには、何もせずにあるがままに任せることが大切であり、何かを成し遂げようとする努


老子51:道が生み、徳が育む原理
老子第五十一章の原文: 現代語訳: 道(タオ)は万物を生み出し、徳(徳性)はそれを育む。物はそれによって形を成し、勢(エネルギー)はそれを完成させる。だから、万物は道を尊び、徳を貴ぶ。 道の尊さと徳の貴さは、誰かに命じられたわけではなく、常に自然にそうなるものである。 ゆえに、道は万物を生み出し、徳はそれを育て、成長させ、養い、保護し、満たす。 生み出しても所有せず、為してもそれに依存せず、成長させても支配しない。これを「玄徳」と呼ぶ。 詳しい解説(独自の視点): 第


老子54:徳の波及効果
老子第五十四章 原文 現代語訳と解説現代語訳 解説 第五十四章は、個人の徳がどのようにして拡大し、家族、地域、国家、そして天下へと波及していくかを述べています。この章は、老子が説く「道(タオ)」の実践が個人から社会全体へと広がる過程を説明しており、非常に重要な教えです。 1. 「善建者不拔,善抱者不脱」について ここで言う「善建者」は、しっかりとした基礎を築いた者を指します。これは、道の実践が内面的に深く根付いている状態を意味しています。いったんしっかりと根を下ろし


老子57:無事長久の秘訣と技巧
老子第五十七章 原文: 現代語訳: 独自の解釈と解説: この章では、老子が「無為自然」の政治理念を説いています。老子は、正道によって国を治め、奇策を用いることが戦においては有効であり、何もせずに天下を治めることが理想的であると述べています。 まず、老子は禁令や規制が増えると、それに反発して人々が貧しくなると述べています。つまり、過剰な管理や干渉は逆効果を生み出す可能性があるという警告です。同様に、技術や武器が発達し過ぎると、それがかえって国家を混乱させることにもなり


老子60:恐怖や迷信が消える調和
老子第六十章は次のような内容です。 原文 治大国、若烹小鮮。 以道莅天下、其鬼不神。 非其鬼不神、其神不傷人。 非其神不傷人、聖人亦不傷人。 夫二者不相傷、故徳交歸焉。 現代語訳 大きな国を治めるには、小魚を煮るように慎重に行うべきだ。 道(タオ)によって天下を治めると、邪悪な霊も力を失う。 霊が力を失うのは、それが存在しないからではなく、道が自然に従い、霊も害を与えないからである。 そして、聖人もまた、人々を害することがない。 このように、霊と聖人が


老子63:無為自然の洞察
老子の第六十三章は、シンプルでありながら深い洞察を含んだ言葉が特徴です。まず、その原文を掲げ、現代語訳を示し、最後に独自の解釈を試みます。 原文 現代語訳 解釈と洞察 老子の第六十三章は、日常生活や仕事、さらには人間関係における行動の指針を示しています。ここでは「無為」や「無事」といった概念が中心的なテーマとなっていますが、これはただ消極的で何もせずに過ごすことを意味するのではありません。 「無為を行う」とは、無理なく自然体で行動することを指しています。これは、何か


老子66:水が集まる道理
老子(道徳経)第六十六章 原文 江海所以能為百谷王者、以其善下之、故能為百谷王。是以聖人欲上民、必以言下之、欲先民、必以身後之。是以聖人処上而民不重、処前而民不害。是以天下楽推而不厭。以其不争、故天下莫能与之争。 現代語訳 大河や海がすべての川や谷の水を集めて、その王となれるのは、それが低い位置にあるからだ。だからこそ、すべての水は自然に集まり、流れ込む。同じように、聖人が民の上に立とうとするなら、まずは謙虚になり、低い立場に身を置くべきである。また、民の前に立つのであ


老子69:悲しむ者が勝つ
老子の『道徳経』第69章は以下の通りです: 原文: 用兵有言:吾不敢為主而為客,不敢進寸而退尺。 是謂行無行,攘無臂,扔無敵,執無兵。 禍莫大於輕敵,輕敵幾喪吾宝。 故抗兵相若,哀者勝矣。 現代日本語訳: 兵法にこう言われている:「私は主となることを敢えてせず、客として振る舞う。敢えて一寸進まず、一尺退く。」 これは「行くが行かず、腕を振るが振らず、敵を投げ打つが敵を持たず、兵を持つが持たない」という意味である。 災いは軽く敵をみることより大きいものはなく、軽く敵をみ


老子72:自らを真に愛する
老子道徳経 第72章 原文: 民不畏威、則大威至。 無狭其所居、無厭其所生。 夫唯不厭、是以不厭。 是以聖人自知不自見、自愛不自貴。 故去彼取此。 現代日本語訳 民が威圧を恐れなくなれば、より大きな威圧が訪れる。 人々の住む場所を狭めず、生きる場所を嫌わないようにしなさい。 その生を嫌わないことこそ、嫌わない生を得る道である。 だから聖人は自分を知りながら自分を表に出さず、自分を愛しながらも自分を誇らない。 このために、他を捨ててこれを取るのである。 仏教者の観点から


老子75:真のリーダーシップ
老子道徳経 第七十五章 原文 民之飢,以其上食税之多,是以飢。 民之難治,以其上之有為,是以難治。 民之輕死,以其上求生之厚,是以輕死。 夫唯無以生為者,是賢於貴生。 現代日本語訳 民が飢えるのは、上に立つ者が税を重く課すからである。それゆえに民は飢える。 民を治めるのが難しいのは、上に立つ者がやたらと事をなすからである。それゆえに民は治めにくい。 民が命を軽んじるのは、上に立つ者が贅沢を追い求めるからである。それゆえに民は命を軽んじる。 ただ、生を軽んじる者だけが、


老子78:逆説的真実
道徳経 第七十八章 天下莫柔弱於水,而攻堅強者莫之能勝,其無以易之。弱之勝強,柔之勝剛,天下莫不知,莫能行。故聖人云:「受國之垢,是謂社稷主;受國不祥,是謂天下王。」正言若反。 第七十八章の現代語訳 天下に水ほど柔らかく弱いものはない。しかし、水ほど堅く強いものを打ち破るものもない。何ものもそれに勝つことはできない。弱が強に勝ち、柔が剛に勝つということは、誰もが知っているが、実行することは難しい。それゆえ、聖人はこう言う。「国の汚れを受け入れる者こそが国家の主であり、国の


老子「道徳経」の全文
道徳経 第一章 道可道,非常道。名可名,非常名。 無名,天地之始;有名,萬物之母。 故常無欲,以觀其妙;常有欲,以觀其徼。 此兩者同出而異名,同謂之玄。 玄之又玄,眾妙之門。 第二章 天下皆知美之為美,斯惡已;皆知善之為善,斯不善已。 故有無相生,難易相成,長短相形,高下相傾,音聲相和,前後相隨。 是以聖人處無為之事,行不言之教; 萬物作焉而不辭,生而不有,為而不恃,功成而弗居。 夫唯弗居,是以不去。 第三章 不尚賢,使民不爭;不貴難得之貨,使民不為盜;不見可欲
























































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