日本と同様に敗戦したドイツと比較します。
ドイツの捕虜は、米・英・仏・ソの四カ国に分けて管理されました。一番待遇が良かったのがアメリカの収容所に送られた捕虜で、「贅沢捕虜」なんて呼ばれていたそうです。英・仏・ソに比べてドイツに対する恨みが少ないということもあるでしょうが、アメリカが豊かだったことが大きいでしょう。
日本を占領したアメリカは、軍政を引くのではなく、間に日本政府を挟んだ間接統治をしました。米軍の直接統治よりも、相当日本人の苦しみは軽減したと思われます。
アメリカはドイツに7、日本に3と戦力を配分していました。共和党系の強い部隊はヨーロッパ戦線に、民主党系の部隊は太平洋戦線に送られました。
GHQには民主党系のニューディール左派とよばれる人が多く、日本を理想国家にしようとした節があります。具体的には、農地解放、普通選挙、財閥解体、男女同権、税制改革、治安維持法廃止などです。
よくいわれる憲法に関しては、最初は日本政府に草案をつくらせたが、明治憲法とあまり変わらないものを持ってきたので、GHQが理想の憲法のようなものをつくったというのが事実です。……残念ながら当時の日本人には、自力で民主主義を確立する力はありませんでした。
敗戦の年に日本は200万人の餓死者がでるといわれていましたが、それほどの大惨事にはなりませんでした。アメリカは食糧供給に加え、大量の原油を日本に送りました。その原油を鉄道と炭鉱の再建に回し、なんとか日本の工業は立ち直ることができました。
よくアメリカが陰謀で日本をダメにしたという説を唱える人がいます。ならば戦前のような国の方が良かったというのだろうか。天皇主権、選挙はあっても議会の力が弱い、国家予算の4割は軍事費、事実上福祉はなく貧困が蔓延、地主による小作人の搾取、女性には選挙権も相続権もない、長男が家内で君臨する家制度、秘密警察による思想統制、検閲、拷問、徴兵、そして戦争…
日本をダメにしたかったら戦前のままにしたでしょう。最近は落ち目とはいえ日本が世界でも有数の豊かな国なのは、民主主義、経済重視、軽武装というGHQの初期の政策のおかげです。
なお、朝鮮戦争以後はGHQの対日政策は逆コースをたどります。GHQの民主派は飛ばされ、日本の右翼反動が復活しアメリカによって反共の砦とされます。
しかし、敗戦国にここまでしてくれた国は、なかなかないでしょう。ソ連やイギリスに占領されたと想像してみてください。
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